バトルファンタジー
それは先日のことであった。
某コミュニティーでこんな質問があったのだ。
「シオリンはいつバトルファンタジーものになるんですか?」
こ、これはあれか、シオリンの人気が低下してきたからバトル方向にテコ入れしようといった編集者の意見か何かか。
確かにキン肉マンやリボーンなどバトル方向にシフトして人気がでた漫画もある。
ってバクマン。でも言ってた。
さむらいウサギみたいにバトル化して残念になったものもあるが。
ここらで人気を取り戻さないと打ち切られるわけだな。
はい、僕ジャンプ好きですよ。
ってなわけでちょっとバトルファンタジー路線で日記をお送りしようと思います。
※この話を読んでない人は先にこっちを読むのをお勧めします。
管理は飢えていた。
ヴァルハラの戦いを終えたものの食糧難で何も食べていない状況が容赦なく襲い掛かってきていたのだ。
手持ちの金も戦争で使い果たし、帰る家もない。
普段は部下(第三魔格闘部隊)に
「貴様らは根性がない。甘ったれてやがる。
たった4,5日間の戦争程度で
『お腹が空いて動けないっす』
と弱音を吐けば食料にありつけると思ってやがる。
動けないほどお腹が減ったヤツはそんな愚痴を吐く余裕はない。
我慢できない今時の若者だ。
そもそも戦場で我慢できないなど根性がないだのなんだの・・・(以下略)」
とか、鬼の異名をとり部下に根性のなんたるかを語るような管理ですが、
今回ばかりは本気で生死にかかわるレベル。
まぁ正確には500ゴールドくらいはあるけどそれで都につくまでの数日分の飯を賄わないといけない状況だったわけです。
だからここで使うわけにはいかない。
となると心苦しいがどこかよその部隊で世話になるしかない。
とか考えてた時、出撃の前の日の晩に、部下に
「カレー沢山作ったんで食べにきてください」
みたいに誘われていたのを思い出したんですよね。
この部下、たびたび村の祭りとか開催してましてですね、たまに誘われるんですよ。
んで、
「ひょっとしたら出撃前の残りがあるかもしれない!!」
「ヤツのカレーはなかなか旨いんだぜ!」
とか思って連絡したら狙ったようにカレー祭はこの日に延期されているらしいじゃないか。
これ幸いと颯爽と向かったらまだ誰も来ていないご様子。
まぁ腹減って死にそうですからね、他人なんて関係なしに即座に食わせてもらいましたよ。
祭なんて関係ない、とにかく食わせろ的な流れで食わせてもらって大満足。
食後のゆっくりタイムを満喫していたら、他の人達がきたんですよ。
管理はてっきり、知り合いだけしかこないものだと思ってたんですが、
知ってる子がなんか知らない人を二人くらい連れてきたんですよね。
その連れてきた二人ってのがまた、凄い魔力を秘めた魔法使いなんですよね。
こう、管理って魔法戦士じゃないですか。
けどそんな管理の魔法レベルなんて軽く超越した魔力、いわゆる黒いローブきて光魔の杖をもった眼鏡さんなんですよ。
肌が黒いのと白いオタがいて、
「こいつら…黒魔導士と白魔導士か」
と、戦慄を感じました。
どうやら同じ部隊の後輩らしいく、
さすがプロの巣窟だぜ、
と部隊の凄腕収集率に感心しつつ軽く挨拶を交わしたりしてました。
だけどなんか、初対面魔導士の二人が管理に対する態度が微妙なのですよ。
特に一方の黒魔導士が感じ悪い。
なんか、完全に管理が話し掛けてもシカトみたいな、会話が成り立たないのですよ。
んで、しばらくしたら魔導書の話とか始めましてですね、
なんか管理以外のみんなには共通の話題みたいですが管理には全然分からない。
なんか居づらくなった管理はベッドの上でごろごろしながら
魔法剣の練習とか、ジャンルの違う魔法を練習してたんですが、
やはりジャンルが違ったら全然食いつかない。
剣に極限魔法を上乗せする魔法剣の練習をしていたら
「剣に魔法とかヒくわ〜」
みたいなこと言われ
「魔法単品よりマシだよ」
と内心毒づきつつも数の分が悪いので我慢我慢。
なんか結局、話にも入れないし練習も飽きてきたとかで、
ちょっとベッドでうたた寝してたんですよ。お腹いっぱいだったしね。
で、二時間ほど眠った頃でしょうか。まだ眠い頭に声が入ってくるんですよ。
「…ちょう。…ください。」
むぅ…なにごとだ…
とかそんな感覚でうつらうつらしてたのですが
「隊長、起きてください」
がはっきり聞こえてきたので
「あ、部下の家だった…」
とかぼんやり考えながら起き上がったのですよ。
そしたら部下が
「隊長、行きますよ」
とか言うのですよね。
寝起きねっとり頭では理解しきれず
「ほぇ?え?え?」
とか言ってる間に連れていかれたのはなんと賭け闘技場。
あたしゃ数日を生き延びるための500ゴールドしかないのよ、
だからご飯恵んでもらいに行ったんだよ、賭け闘技場に割くお金なんかないのよ。
そも、このメンバーで闘技場…?
嫌な予感がしました。
だって管理、黒魔導士に嫌われてるもん、
単品の魔法とかあまり知らないからきっと一緒に戦えないもん。
なんか趣向が合わない数合わせパーティって結構苦痛じゃないですか?
そんなのイヤすぎる。
管理は帰りたくて仕方ないんだけどさっきまで寝ていた手前、
「時間がない」系の理由で逃げるのも微妙。
さっき練習してたせいで魔力も切れてて、
必殺「移動魔法で逃げる」
で帰るのも不可能。
もはやこの苦痛の二時間と戦うしかない状態なんですよ。しかもパーティかと思いきや戦う相手は魔導士たち。
腹を括っていざ戦場へ。
事件は会議室で起こってるんじゃない、闘技場で起きているんだ。
まぁ魔法くらいきっとマジックバリアで耐えられるさ、自分はいつも通り戦えばいいんだ。
そう自分に言い聞かせ、いつもの戦闘態勢に入ったのですが、、
なんか魔導士共の魔法が、専門じゃないにしても知らなすぎるのですよ。
予想では、ファイアとかサンダーとかそーいった系で、
なんとなく聞いたことはある、って感覚で攻めてくるかと思っていたのだけど違う。
思わず魔導士二人を引き連れてきた知り合いの子に
「ねぇ、これ何の魔法?」
って聞いたら
「禁断魔法ですよ(苦笑)」
とか言うんですよ。
いやいやいやいや、4元素ならいざしらず、禁断魔法とか賭け闘技場ごときで使うものなの?
ってか使えるものなの?
誤解のないように言っておきますが、管理は禁断魔法自体を否定しているわけじゃないです。
別に管理は禁断魔法は使わないですが、可能性の追求を悪いこととは言わないし、やるなとも言わない。
だけど、世間一般から見て、あまりイメージ良いものじゃないじゃないですか。
名前に禁断とかついてるのに堂々と使ったりするにはどうなの?って感じじゃないですか。
これはヤバイ、世間に同類だと思われる、と同じ部隊ながらに危機を覚えつつ、
普通な魔法(だと管理は思う)を使うのですが
オタ達は通じないどころかシカトして禁断魔法の詠唱再開。
あのね、管理は思うんだけど、人がなれない魔法つかってる最中に無視して詠唱って結構失礼だと思うの。
魔導士とか関係なしに失礼だと思うの。
経験ある人も少なくはないと思うのですが、盛り上がらない闘技場の典型的パターンじゃないですか。
やっぱ、適当にでも反応くらいは打つべきだと思うんですよ。
唯一、知り合いの子だけは管理に気を使って合わせてくれたり
「あ、その魔法、弱点属性ですよ」
とか言って管理に気遣ってくれて。
「この子は良い子だ、魔導士に紛れた天使だ」
とか思っていたらなんか不穏な魔術文字が画面に浮かんでるのを見てしまったのですよ…
ねこみみモード
って。
今こそ、この名言を使わせて貰おう。
それなんて禁断魔法?
しかもその技、聞いた感じだと変身か何かっぽいのですが、
体表ののほとんどが
『ねこみみもーど』
にふさわしい、獣のような剛毛に包まれていくのですよ。
しかも黒魔導士が微妙に高い鳴き声あげて襲ってくるんだわこれが。
もうね、これは完全に悪夢ですよ。
野獣の速度、鋭い爪、それだけでも大苦戦なのに、
攻めてくるのはすんごい魔力の魔導士さん。
いや、まぁすんごい魔力の魔導士じゃないとこんなんできないと思うけど。
そして黒魔導士の鳴き声で発動する
「禁断極限魔法!」
もうね、耐えられない。バリアとか効かないし剣も物理攻撃を通さない体毛に破壊されてしまった。
何この軍事兵器。
ただひたすらこの悪夢が終わるのを待っていたのですが、
待ちに待ってやっと二時間経ちました。
ついに解放の時がきたぁぁぁぁぁぁぁ!
黒魔導士「まだ戦う?」
お前口開くな
ホントにね、お前の口からは人を苦しめる音声しか発生しないのかと。
会話ができない代わりに不幸の言葉しかこない。
もうね、こればかりは絶対にさせまいと思い
「ちょっとそろそろ体力もないし帰らないと…」
とか言ってなんとか、おひらきにまで持ち込んだのです。
さて、その後は清算なのですが、まぁ、なんとゆーか…
500ゴールド全部使いきってしまいましてですね…
もう、なんてゆーか、昼飯代自体は浮いたけど
結局、手持ちはすっからかんになるわ、心身ともにボロボロにわなるわ、ねこみみもーどだわで
タダよりなんとかな物はないとはよく言いますが、まさにそれを経験してしまったのでした。
結果
ご愛読ありがとうございました!管理先生の次回作にご期待ください!
完
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体などは実在の人物には一切関係ありません。
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